財団設立30周年記念特設ページ

平素は当財団の活動に、格別のご支援、ご協力を賜り厚く御礼申し上げます。
さて、お陰様をもちまして、当財団は2023年3月31日をもって設立30周年を迎えました。
当財団の30年を振り返って、30周年記念特設ページを開設しましたのでご高覧ください。

 

 

 

理事長挨拶 ~設立30周年を迎えて~

一般財団法人高齢者住宅財団
 理事長 加藤 利男

 

 

【第1部】 記念講演 「高齢者向け住宅の動向 高齢者住宅財団設立30周年に寄せて

一般財団法人高齢者住宅財団
 元理事長 髙橋 紘士

資料ダウンロード(PDF:6.9MB)
※当講演資料を利用する場合は、出典を明らかにしてお使いください。

 

 

【第2部】 財団設立30周年に寄せて

 

財団設立30周年おめでとうございます

厚生労働省
 老健局長 間 隆一郎

設立30周年、誠におめでとうございます。
平成5年に当時の建設省・厚生省の共管の財団として設立された貴財団は、高齢者の住まい・まちづくりに関する調査研究や情報提供、人材育成、及び高齢者等の家賃債務保証業務、シニア住宅の運営といった幅広い事業を通じて、住宅施策と福祉施策の連携推進の一翼を担ってこられました。「エイジング イン プレイス」の理念のもと、高齢者の住生活の向上や、地域居住の推進のためにご尽力いただいたこれまでの取組は、まさに国が目指す「地域包括ケアシステム」と同じ考え方を貫くものであり、ご関係の皆様に、深く敬意を表します。

高齢者を取り巻く環境が大きく変化したこの30年間を振り返ってみますと、社会全体で介護を支えることを目指し平成9年に介護保険法が成立し、平成12年から介護保険制度がスタートしました。制度創設から22年が経過し、サービス利用者数は約3.5倍に増え、介護保険制度は、高齢者の介護に無くてはならないものとして、定着・発展しております。

高齢者の住まい施策では、平成23年の「高齢者の居住の安定確保に関する法律」の改正により、国土交通省と厚生労働省の共管によるサービス付き高齢者向け住宅制度が創設されました。また、平成29年には「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律(住宅セーフティネット法)」が改正され、住宅確保要配慮者を対象とした登録住宅や居住支援法人等の制度が設けられました。有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅等の高齢者向け住まいの多様化が進む一方で、民間賃貸住宅における高齢者の入居制限といった課題も顕在化しています。厚生労働省では、国土交通省や法務省と連携しながら、居住支援施策のあり方について制度的な対応も含めて検討を進めているところです。

貴財団では、平成23年度から、高齢者の居住支援について、老人保健健康増進等事業により先駆的に取り組んでいただきました。今後、単身高齢者の大幅な増加に対し、高齢者の住まい施策の重要性がますます高まりますので、「地域包括ケアシステム」の推進に向けて、貴財団のご支援・ご協力は不可欠です。引き続きよろしくお願いいたします。

高齢者住宅財団設立30周年を祝って

国土交通省
 住宅局長 石坂 聡

この度、貴財団が設立30周年を迎えられたことを心よりお祝い申し上げます。振り返りますと、平成に入る頃から、高齢化の急速な進展や家族構成の変化等を背景として、高齢者の介護や住まいをめぐる課題が注目されるようになり、介護保険法や高齢者の居住の安定確保に関する法律といった新たな制度・施策が誕生しました。

貴財団は、高齢者の居住の安定確保などの福祉の増進が社会的な要請として求められている中で設立され、シニア住宅の管理運営業務、高齢者住宅事業等の質の向上に資する調査研究・情報提供などを着実に実施するなど、国民の住生活の安定、向上及び福祉の増進にご尽力いただいてきました。

さらに、誰もが住み慣れた地域で住み続けることができるよう、いわゆる「エイジング・イン・プレイス」の推進のため、高齢者の生活支援を行う人材を育成するための研修会の開催などにも取り組んでいただいています。

国土交通省では、令和3年に策定された住生活基本計画において、「高齢者等が健康で安心して暮らせる住まいの確保」のため、サービス付き高齢者向け住宅等について、地域の需要や医療・介護サービス提供体制を考慮した整備・情報開示などを基本的な施策として推進しており、貴財団においても、機関誌やメールマガジンにより高齢者向け住宅や生活関連サービス等に関する情報を広く発信していただいています。

一方、特に単身の高齢者は民間賃貸住宅への入居において困難を抱えることが少なくないこと等を背景として、平成29年に高齢者等の住宅確保要配慮者の入居を拒まない住宅の登録制度や居住支援法人の創設等を内容とする住宅セーフティネット制度がスタートしました。貴財団は、高齢者や障害者、セーフティネット登録住宅入居者などを対象とした家賃債務保証を公益的観点から積極的に引き受けるとともに、100近くの居住支援法人と家賃債務保証に関する協定を締結し、高齢者をはじめとする住まいに困難を抱える方の居住の安定確保に貢献していただいています。さらに、居住支援法人の指定についての理解・普及や市町村居住支援協議会の設立促進のための支援業務も行っていただき、居住支援をめぐる活動の全国的な展開にもご助力いただいています。

現在でも、我が国の高齢者世帯数は依然として増加し続けており、2030年には約1,500万世帯となる見通しとなっています。高齢者等の居住支援については、住宅セーフティネット制度の見直しも視野に入れて、厚生労働省、法務省、国土交通省で「住宅確保要配慮者に対する居住支援機能等のあり方に関する検討会」で議論が行われており、高齢者の住まいの確保に資する活動を行う貴財団の役割はますます重要になる可能性があると考えています。
これまで様々な活動にご尽力いただいてきた貴財団に深く敬意を表するとともに、今後の社会的要請に応じた更なる発展・貢献を期待しています。

高齢者住宅財団と共にwell-being の実現を目指して

一般社団法人高齢者住宅協会
 会長 菊井 徹也

一般財団法人高齢者住宅財団様におかれましては、設立30周年を迎えられ、誠におめでとうございます。

私共、一般社団法人高齢者住宅協会の前身、一般社団法人高齢者住宅推進機構は、2011年5月に、サービス付き高齢者向け住宅の登録制度創設と時期を同じくして、高齢者の住生活や高齢者住宅における住空間のあり方、医療・介護・福祉施策との連携を通じて、高齢者の尊厳ある暮らしの実現のため、関係する有志の企業が参加し設立されました。

設立時より、貴財団と同じ場所に事務所を構えさせていただき、法人としての運営から高齢者住まいの供給や、住空間にアプローチする調査研究等に至るまで、豊富な知見を惜しみなくいただいたことは当協会にとりまして大変幸いなことでした。

その後、2018年6月に現在の名称に変更し、2019年4月よりサービス付き高齢者向け住宅事業者協会と合流。多数のサービス付き高齢者向け住宅の運営事業者が加わり、新たな体制でスタートいたしました。その後も変わらず、さまざまな面で貴財団には教えをいただいております。

現在は、貴財団が取り組んでおられる「高齢者の住宅資産の循環活用に関する検討調査」(国土交通省スマートウェルネス住宅等推進事業)で、当協会の会員が委員として参加し、自ら運営する住宅の入居者へのアンケート調査と分析を行う等の活動をさせていただいており、これらの成果の積み重ねは、当協会の今後に向けての貴重な財産ともなるものです。

このように密接に活動させていただいている当協会といたしまして、貴財団が今後ますます発展されることを祈念するとともに、今後も変わらずご指導いただけますようお願いをいたしまして、30周年の祝意に代えさせていただきます。

地域居住の先にあるもの

日本社会事業大学専門職大学院
 教授 井上 由起子

30周年おめでとうございます。高齢者住宅財団との出会いは2003年で、それから20年が経ちました。調査研究事業、海外視察、寄稿、研修講師など、様々な仕事を一緒にさせていただきました。特に感慨深いのは2004年から7回にわたり財団ニュースに連載する機会をいただいたことです。研究者としてよちよち歩きを始めた頃のことで、締め切りと格闘しながら、研究成果を活かして、まちのなかで暮らし続けることの具体を描き、高齢期の住まいについてあれこれと筆を走らせました。連載終了後は、中央法規からの出版の機会にも恵まれ、厚生労働省や国土交通省での仕事にも繋がっていきました。研究者としてこのうえなくよいスタートが切れたのは、財団のおかげだったなぁと、感謝とともに振り返っています。

調査研究事業は2004年が最初で、その後は2007年から2014年までサービス付き高齢者向け住宅関連で7本に参加しました。財団はその後、居住支援に関する先駆的な調査研究事業に取り組まれました。私も遅ればせながら2020年から4本に参加しました。高齢化と単身化が進むなか、住宅と福祉をつなぐ実践と制度への期待は高まるばかりです。財団が、高齢者向け住宅等の運営管理や債務保証などの実践に加えて、様々な調査研究事業や人材育成事業を通じて、エイジング・イン・プレイス(地域居住)を推進し、高齢社会を生きる人々の安寧な暮らしに貢献することを祈念しています。

居住支援の礎をつくっていただき、感謝!

公益社団法人かながわ住まいまちづくり協会
 事業課長 入原 修一

財団設立30周年、心よりお祝い申し上げます。令和3年度から、財団が事務局を務める国土交通省事業「居住支援協議会伴走支援プロジェクト」のメンバーとして、日ごろより大変お世話になっております。

当協会と財団との出会いは、「高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者住まい法)」が施行された平成13年に、当協会が高齢者円滑入居賃貸住宅の指定登録機関として神奈川県から指定を受け、「高齢者の居住支援事業」に取り組み始めたときでした。

当時、県内自治体では居住支援に関わる部署が明確になっておらず、自治体に事業の協力依頼に出向いても、住宅部局と福祉部局のたらい回し状態。その中を財団の方々にも同行いただき(今思うと伴走支援!)、少しずつ自治体の理解を広げることができました。

また、こうした経験を居住支援協議会の事務局業務へとつなげることができたのも、当時の財団からの『伴走支援』が礎になっていると思うと、感謝するとともに不思議な縁を感じています。

現在は、住まい探しにお困りの方は高齢者に限らず、障害のある方や生活困窮者など多様化し、さらに障害のある高齢者など複合化することも増えています。このような方々が地域の一員として当たり前に暮らすためには、関係する自治体部署の理解と、関係機関が活動しやすい地域の基盤づくりが益々重要になります。こうした地域づくりに、住宅と福祉をつなぐ先導役・情報バンクとして、財団の活動は不可欠だと考えています。30歳は働き盛り! 今後の更なるご活躍を祈念いたします。当協会も、20年前の恩返し(?)に、力になれれば幸いです。

人脈触媒としての高齢者住宅財団

東京大学大学院工学系研究科建築学専攻
 教授 大月 敏雄

私が高齢者住宅財団と関わりを持つようになったのは、2008年まで勤めていた東京理科大学から古巣の東京大学に戻ってきた時であった。東京大学高齢社会総合研究機構が設立されて間もない頃、同機構の設立者のお一人である秋山弘子先生が、私の部屋にリクルートのために見えられたのが始まりであった。同機構に出入りするようになると、当然辻哲夫先生ともやりとりさせていただくようになり、必然的に髙橋紘士先生ともつながることになり、こうして芋蔓式に短期間に高齢社会研究の大御所たちと知り合うようになった。そして当然のことながら、いつの間にか財団とお付き合いするようになった次第である。

よく覚えているのは、まだ機関誌の編集に落合明美さんがいらっしゃって、各種調査でご一緒したことであった。落合さんと一緒に南阿蘇の認知症グループホームを訪れた際に、熊本県の課長さんが来られていたのだが、のちに起きた熊本大地震の際の応急仮設住宅の計画を手伝いに行った際には、とてもその経験が役立った。

もう一つよく覚えているのは、のちに髙橋紘士編著『地域包括ケアを現場で語る』木星社にも再録された、私と髙橋先生と祐成保志先生(東京大学社会学)の鼎談を、機関誌掲載のためにやらせていただいたことである。この時初めて祐成先生と出会うことができ、今もなお、学内の縦割りを超えて親しく共同研究をさせてもらっている。このように、財団は私にとって人脈を広げる触媒として大いに役立ってきた。30周年おめでとうございます。

高齢者等の居住問題解決の先駆者としてさらなる発展を

公益財団法人日本賃貸住宅管理協会
 常務理事 荻野 政男

この度は貴財団の設立30周年を謹んでお祝い申し上げます。貴財団は早くから日本社会の高齢化の課題を見すえ、さまざまな高齢者の住まいの問題に取り組むなかで、功績を重ねてこられたことに心より敬意を表したいと存じます。

さて、現在の超高齢社会においては賃貸住宅にお住まいの方々も例外ではなく、長期の居住者を中心に年々高齢化が進んでいます。民間賃貸住宅では65歳以上の高齢者がすでに居住者全体の1割を超えたと言われています。

そうしたなか、賃貸住宅管理業者としては今後、高齢の居住者が安心・安全に暮らせるよう管理サービスの充実など対応を急ぐ必要があると考えます。

たとえば、賃貸住宅に住む高齢者は約6割(都内の場合)の方々が一人で暮らしていますので、一定のサポートは欠かせません。万が一、室内で転倒事故があっても気づくことができるよう、一定の見守りサービスが必要になります。

この居住支援サービスの一環として、高齢者のほかに障害者、子育て、外国人などの世帯の入居円滑化に寄与しているのが、貴財団の「家賃債務保証制度」です。

今でこそ民間の事業者が高齢者等の家賃債務保証を引き受けるようになりましたが、2001年に始まった財団の債務保証がその道を切り開いてきたことは特筆すべきでしょう。

高齢者などの住まいの問題解決に取り組む貴財団が、これからもより一層社会に貢献し、発展されることを祈念しております。

包括的な居住支援課題に私たちは取り組んでいく

一般社団法人全国居住支援法人協議会
 共同代表副会長 奥田 知志

高齢者住宅財団設立30年を心からお祝いし、そのお働きに感謝を申し上げたいと思います。

人が家を失うことは、第一に「生命的危機」を意味します。言うまでもなく路上生活は死と隣り合わせの状況です。第二に「社会的危機」。住所を失うことであらゆる社会的な手続き、例えば就職活動なども困難になります。第三に「関係的危機」。住まいは社会参加の前提であり、関係構築や信頼の基礎だと言えます。孤立、孤独が課題となった今日、住まいの不安定が孤立を助長することとなります。「住宅問題」は「ハコとしての住宅の確保」のみならず、広範な社会的課題を含む「包括的な課題」であると言えます。

「高齢者」の住宅の課題は大きく、特に「高齢単身」の住宅確保は今後さらに重要となります。昨年の内閣府の発表では、2020年段階での単身世帯は38%となっており、急速に単身化が進行していることが分かります。「家族・身内の責任」を重視してきた日本社会ですが、単身者の急増で、これまでの「家族・身内」を前提とした社会システムが機能しないことが心配されています。

高齢者住宅財団は1993年に結成され、これらの高齢者住宅に係る課題をはじめ、多くの居住支援に係る事業や調査研究を担って来られました。私たち「全国居住支援法人協議会」(全居協)は、2017年の住宅セーフティーネット法改正において「居住支援法人」が誕生したことに伴い、2019年に設立されました。全居協は、これまでもそしてこれからも、高齢者住宅財団と共に居住支援の課題を担わせていただければと思います。今後もよろしくお願いいたします。

設立30周年に寄せて

一般財団法人ベターリビング
 業務支援部長 折田 信生

このたびは設立30周年を迎えられましたこと、誠におめでとうございます。1993(平成5)年の設立以来、高齢者等の住生活の向上及び居住の安定に資する取り組みを推進されてこられましたことに、心より敬意を表します。

当職は、2020年7月から2022年3月末まで、出向という形で貴財団の企画部の研究員として迎えていただきました。貴財団の在職中は役職員の皆様やご関係の皆様に種々ご指導ご鞭撻いただくとともに、大変お世話になりましたこと、あらためて厚く御礼申し上げます。

着任当初は、調査研究事業の主要なテーマである「高齢者の居住支援や生活支援」について、十分に理解できていない状況でしたが、実務を通じて、企画部の皆様から丁寧にご教示いただき、少しずつ理解を深められ、微力ながら事務局の一員として担わせていただきました。特に、地方自治体や社会福祉法人の居住支援の取り組みを推進するための事業においては、時には現地に訪問し、実状や課題に関する生の声をお伺いしたり、専門の先生方による居住支援セミナーやディスカッションの場を通じて、それぞれの主体における居住支援等の活動が正に動き始めようとする貴重な機会にも立ち会わせていただくことができました。あらためて、貴財団の事業活動が高齢者の住まいや生活の最前線に密接に関わっており、その役割の大きさを強く実感した次第です。

最後になりますが、貴財団の益々の発展、並びに急速な高齢化が進展する中、より一層社会への貢献を果たされますことを心より祈念申し上げます。

居住支援のパイオニアとしての役割に期待

追手門学院大学地域創造学部
 准教授 葛西 リサ

財団設立30周年、本当におめでとうございます。ちょうど10年前の2013年から1年半、調査研究部の職員として高齢者住宅財団にお世話になりました。学究領域では一匹オオカミで、自分の関心のあるテーマにのみ邁進してきた私にとって、組織全体で、しかも、政策立案に向けた基礎調査を行うという職務は、何にも代えがたい貴重な経験となりました。

当時、私がかかわった事業は、施設利用が難しい、低資産・低所得高齢者をいかにして、地域で包摂するのかというチャレンジングなものでした。高齢、貧困、社会からの排除など、多くの不利を纏った人々を、民間の賃貸住宅市場や空き家を活用して幸せにする。そのためには、制度外のケアや見守りを付帯する必要がある。当然ながら、その解は簡単には得られるものではありませんでしたが、そこで常に議論された「必要な資源やサービスがないなら発掘する、足りないなら繋ぐ」という発想は、間違いなく、現在の私の研究活動に多大な影響を与えています。

ここ数年、居住支援というキーワードが急速にわれわれの社会に浸透し、その実践事例は全国いたるところで見られるようになりました。しかし、その基礎は、高齢者住宅財団の「大会議室」で築かれたものだと確信しています。これからも、福祉と住宅といった近いようで遠い、二つの領域を縫う重要な大役を果たされることを期待しております。

「居住支援」のフロントランナーとして

日本大学文理学部社会福祉学科
 教授 白川 泰之

この度は、高齢者住宅財団設立30周年、誠におめでとうございます。振り返りますと、私自身は、平成23年度の厚生労働省の研究事業でお世話になり、以来、十数年にわたりご一緒させていただいております。当初は、地域包括ケアシステムの中の「住まい」について、低所得・低資産高齢者がいかに確保できるようにするかという問題意識で研究がスタートしました。当時は、政策用語として「居住支援」という言葉もほぼ使用されておらず、なぜ福祉が住宅問題を検討するのか、という疑問をぶつけられることもありました。

しかし、現在では、「居住支援」という用語も定着しており、高齢者をはじめ様々な社会福祉の分野に広がりを見せています。居住支援に係る十数年にわたる財団の研究成果や関係機関・団体、研究者等とのパイプも、他の団体に類を見ない充実した蓄積となっています。また、ここにきて、「全世代型社会保障構築会議報告書」では、「住まい政策を社会保障の重要な課題として位置づけ、そのために必要となる施策を本格的に展開すべきである」との指摘がなされるに至っています。厚生大臣及び建設大臣(当時)の認可により設立された財団の使命は、ますます重要となっていくものと思われます。

今後とも、住まい(住宅)と暮らし(福祉)を架橋する居住支援の分野を、フロントランナーとして牽引し、ますますの成果をあげられることをご祈念いたしまして、お祝いの言葉といたします。

エイジング・イン・プレイスの推進に向けて

日本総合住生活株式会社総務人事部総務課
 課長 中村 傑

この度は、設立30周年を迎えられ誠におめでとうございます。私は、2018年8月から2020年6月までの約2年間高齢者住宅財団(以下、「財団」という。)企画部に出向し、当時の那珂理事長や落合部長、財団職員の皆様に大変お世話になりました。

現在も弊社から財団への出向者がおりますが、今回「初代出向者」として寄稿依頼をいただきましたので、当時携わった事業の一部を振り返ってみました。

私が出向した当時は、改正住宅セーフティネット法が施行されて1年目であり、新たな住宅セーフティネット制度の創成期に普及拡大のための調査研究事業等に携わることができました。

事業の中では、有識者の先生方をはじめ、国土交通省や地方公共団体の職員の皆様、居住支援団体等の方々から様々な考えや思い、具体の取組み事例などをお伺いすることができ、本制度における現状や課題、今後の展望等自分自身も深く考えさせられる場面が多くありました。現在、居住支援法人や地方公共団体における居住支援協議会、セーフティネット登録住宅の数も着々と増え続けており、本制度の普及拡大に微力ながら携われたことに感謝いたします。

昨今、急速に高齢化が進む社会の中で高齢者等の居住問題など各種政策課題の解決に向け、財団の果たす役割が益々大きくなってきているものと思います。財団の使命であるエイジング・イン・プレイスの推進のために、今後益々のご発展を心からお祈り申し上げます。

高齢者住宅財団30周年 これからに期待すること

社会福祉法人こうほうえん
 会長 廣江 研

20世紀から21世紀へと時代の変遷とともに、将来我が国の高齢者急増を見越して、法律や制度の改正が行われてきた。1989年にゴールドプランがスタートし、1994年には新ゴールドプランが追加され、全国に施設・在宅サービスの開設が急速に進んだ。その頃から、企業においても有料老人ホームが各地にでき始めた。2000年には介護保険がスタートし高齢者対策が国の大きな施策となり、多くのサービス提供は、社会福祉法人中心から株式会社など多様な加入が可能となり一気に拡大した。2011年には高齢者住まい法の改正で新たに国庫補助金が付き、サービス付き高齢者向け住宅などの高齢者の多様な住まいが誕生した。厚生労働省、国土交通省と省を跨いだ新制度であり、一挙に全国に普及した。高齢者住宅財団はこのような背景の元に誕生し、今年30周年を迎えた事は大変意義のあることと思う。調査研究、人材育成、情報提供、債務保証、高齢者向け住宅(シニア住宅)等の管理運営が財団の使命である。

それぞれの事業は着実に地域への力となって前進し、その役割は無くてはならないものになっていることは喜ばしい。今後は国の財政面からの自立した経営が求められる。家賃債務保証等の保証事業やシニア住宅の経営等を一層充実させるとともに、新たな高齢者住宅に資する事業を立ち上げる事も必要と思われる。例えば、乱立する民間高齢者住宅の紹介事業者の認証制度を行政と共に実施することで、財政的にも健全な財団へと向かって行って欲しいと期待している。

不易流行 ~超高齢社会から多様化社会へ

大牟田市居住支援協議会
 事務局長 牧嶋 誠吾

設立30周年おめでとうございます。貴財団との関わりは今から約15年前になります。要介護高齢者の在宅環境向上を目的に、官民協働によるバリアフリー住宅士養成講習会に取り組んでおり、その取材を受けたことがきっかけです。当時私は、市高齢者福祉部局に在籍しており、住民説明会用の資料作成のネタ探しをしていたとき、財団のわかりやすい資料に出会い、資料請求したことを記憶しています。その後、財団では高齢者に関する様々な調査研究をされていることを知るとともに、全国で高齢者居住環境の研究をしている名立たる人たちとのご縁をいただき、今の自分があると思っています。ご縁を下さった財団職員の皆さま方に改めてお礼申し上げます。

一地方都市の建築技術者が高齢者の暮らしと住まいのあり方を考える中、季刊誌として発行される財団ニュースにおける高齢者住宅に関する最先端の情報誌は、市の施策を進めるうえで貴重な情報源であるとともに、時には刺激を受け、時にはたくさんの勇気をいただきました。多様化社会となった今日、高齢者だけの問題だけでなく、8050問題や障がい者などの関係も加わり、高齢者の暮らしを取り巻く環境は、まさに複雑化・多様化、そして高度化していることをひしひしと感じています。

30年というこれまでのご苦労に敬意を表しますとともに、我が国の高齢者施策や居住福祉施策の取り組みを通した豊かな社会の実現に向け、益々のご発展を祈念しています。

Aging in Place の羅針盤としての財団

京都大学大学院工学研究科建築学専攻
 教授 三浦 研

私が高齢者住宅に関心を寄せた出来事は、1995年の阪神淡路大震災のケア付き仮設住宅との出会いでした。その暮らし方に惹かれ、なんとか残せないか検討したものの、当時は高齢者住宅にふさわしい適当な制度がありませんでした。しかし、高齢者住宅財団の存在は、いつかわが国にも、より一般的な高齢期の居住環境整備の普及が必要になるはず、という考えを下支えしてくれました。それだけ、財団の誕生は、時代が進むべき方向性を予見していたと思います。そして、2000年の介護保険制度の創設前後から、この領域は急激な変化の荒波に放り込まれます。

昨今の大学は、様々な雑務に追われ、十分な研究時間と予算に恵まれません。全国の動きや、実践者、研究者、行政など、多様なステークホルダーの考えを財団がタイムリーに取り上げ、整理、発信したことで、研究者は、学会だけでは得られない情報を大いに収集することができました。くわえて、LSA 研修会など、民間、行政のいずれでも難しい課題に切り込み、先駆的な成果を上げています。現在の居住の安定は、単なる器の問題にとどまらず、子育て支援、障がい者も含めた、地域全体の包括的なテーマに広がりつつあります。改めて、高齢者住宅財団の創設30周年を心からお祝いし感謝を申し上げると当時に、これまでと同様に多様なステークホルダーに向けて、財団が社会の羅針盤としての役割を大いに発揮されることに期待しています。

安心できる住まい・くらしを目指して

独立行政法人都市再生機構
 ウェルフェア総合戦略部長 水野 克彦

財団設立30周年おめでとうございます。団塊世代が後期高齢者となる2025年を控え、高齢者の住まいのあり方は政策課題としての重要性を増しています。このような中、国の政策を受け高齢者の住まいに関して幅広く事業等を展開されている財団の役割はますます期待されています。

UR都市機構(当時、住宅・都市整備公団)では、公団初の本格的な高齢者向け賃貸住宅「ボナージュ横浜」を平成7年に、「ボナージュ稲毛海岸」を平成10年に開設しました。財団には、当施設の管理及び基礎サービス(フロントサービス、緊急時の対応等)の提供という運営に欠かせない重要な業務を担っていただいており、適切な運営と、長年培われた高齢者対応のノウハウを生かした柔軟できめ細やかなサービス提供により、安心して長く住み続けられるシニア賃貸住宅として、高い評価をいただいております。引き続き、ボナージュの運営をはじめ、高齢者及びそのサービスのあり方に係る調査研究や人材育成の分野において、安心できる住まい・くらしを目指し、財団と共に取組んで参りたいと思います。

現在、UR 都市機構では団地を含む地域一体で多様な世代がいきいきと暮らし続けられる、住まい・まち“ミクストコミュニティ”づくりを推進しています。今後は住まいにとどまらず、くらし、そして一人ひとりのウェルビーイングの実現に向け、地域関係者や民間事業者の連携協力体制を強化・推進してまいります。

高齢者の視点から社会全体の住まいを考える

近畿大学建築学部
 教授 山口 健太郎

終の棲家の質が向上すれば、社会全体の住まいの質が向上する。高齢者住宅財団の仕事は、高齢者のみならず社会全体の住まいの質の向上に貢献している。住まいの質とは、機能や性能だけではなく人と環境が織りなす社会文化的な要素を含む。例えば、自分がどのような場所で最期を迎えたいかを想像してもらいたい。多くの人は、親しい人々に囲まれながら、なじみのある環境の中でゆったりと過ごしたいと思うだろう。また、高齢者施設の研究を行っていると、民家には認知症の方の気持ちをやわらげ、落ち着かせる効果があることに気づく。私たちは日々の暮らしの軌跡がつまった環境に価値を見出し、積み重ねてきた時間を大切にしている。それは自分が暮らしてきた時間だけではなく、住宅が持つ時間にも当てはまる。時間という要素は、物理的な視点から見ると劣化要因にすぎないが、心理的視点からみれば風合いが味となり良い効果をもたらす。私たちは物事をスタート時点から考えがちであるが、ゴールから振り返ってみる方が本質に迫れることもある。住まいについても、自らの最期をどのように過ごしたいかという視点を幅広い世代と共有することが重要である。高齢者住宅財団は、高齢者の生活を考える貴重な団体であり、30周年という素晴らしい時間を過ごされてきた。これからも人生最後のステージから幅広い住まいについて貢献されることを願っている。

住宅ローン分野の高齢者支援において先導的な役割を期待

独立行政法人住宅金融支援機構
 マンション・まちづくり支援部長 山崎 徳仁

一般財団法人高齢者住宅財団が設立30年を迎えられましたことを、心からお喜び申し上げます。高齢化の進展により、住宅政策を考えるにあたっては、2つの老い、つまり、建物の老朽化への対応に加え、入居者の老いへの対応が必要になっています。社会全体にとって快適な住環境を維持するためには、住宅取得世代の住宅取得を支援するだけでなく、高齢者の住宅改修や住み替えを促進することが必要ですが、高齢者が住宅ローンを借り入れることは難しく、耐震性や断熱性の無い住宅に我慢しながら住み続けている高齢者が多数いるというのが現状です。加えて、高経年マンションにおいては、建替の場合の増床負担金、大規模修繕工事費、将来の修繕積立金・管理費の負担など新たな問題も発生しています。

そのような状況を改善するためにはリバースモーゲージ融資の活用がありますが、貴財団は、戸建住宅やマンションの建設・購入・リフォームだけでなく、マンション建替の場合の増床負担金、大規模修繕工事費、将来の修繕積立金の負担など幅広い用途のリバースモーゲージ融資に対して債務保証を行い、高齢者の住宅改修や住宅取得の支援の分野で先導的な役割を果たしています。今後、超高齢化社会に向けて、住宅分野における高齢者支援はますます重要性が増していくものと思われ、貴財団の活躍する分野も現行以上に拡大していくものと確信しています。

貴財団の今までの取組に敬意を表するとともに、これからの益々の発展を心よりお祈り申し上げます。

2013年から評議員を務めて

吉田修平法律事務所
 代表弁護士 吉田 修平

財団設立30周年おめでとうございます。私は2013年から評議員を務めさせていただいておりますが、おそらく2011年に国土交通省と厚生労働省の共管で設置されたサービス付き高齢者向け住宅の参考契約の検討委員会の委員として、参考契約及びコメントを作成したことが評議員となるきっかけになったものと思います。また、その前提として、私は2000年から2001年にかけて建設省及び国土交通省において、終身建物賃貸借制度の検討委員会の委員として立法に携わっておりました。

わが国は、世界で最も進んだ超高齢化社会に突入しつつありますが、その中で建築費の上昇等によるマンション価格の高騰や介護等に携わる人材の不足などの諸問題を抱えており、質の高い高齢者向けの住宅及びそれに関連するサービスの提供が、重要かつ喫緊の課題となっているものと思われます。

そのような状況の中で、シニア住宅の管理運営や債務保証等の実践を踏まえた上での調査研究、人材育成及び情報提供をなさっている高齢者住宅財団の存在意義と社会的価値は、ますます高まっていくものと思います。

私も、大変微力ではありますが、少しでも高齢者住宅財団のお役に立てますように、これからも精進・努力して行く所存です。

今後も高齢者住宅財団が価値の高い有意義な活動を続けていかれますことを、心よりお祈りしております。

会計士として携わった23年間の思い出

吉元公認会計士事務所
 公認会計士・税理士 吉元 信光

設立30周年おめでとうございます。私が高齢者住宅財団の仕事を辞して早7年が過ぎました。逆算すると23年ほどのお付き合いを頂いたことになります。

高齢者住宅財団は高齢者の方々の住環境の向上を模索する30年間だったものと思いますが、それを会計を通して陰からお手伝いするのが私に与えられた23年間の役目でした。それはまた、財団の皆様のご協力とご理解に助けられた23年間でもありました。最初に財団を訪れたのは設立初年度で、ある銀行からの依頼を受けて決算書作成のお手伝いに参りました。作業締切り当日まで、総務部長、会計担当者、私の三人で真夜中にまで及ぶ作業が数日間続いたことを覚えております。その後23年のお付き合いとなり、公益法人会計という特殊な会計を扱うための苦労も多くありましたが、同時に楽しい23年間でもありました。最初に財団本部が置かれた赤坂には韓国料理店が多いことを田舎者の私が知ったのも、お昼に頂いた食事のお陰でした。

23年の間には、公益法人会計の大きな制度変更や公益法人制度改革もありました。これらの変更・改革に従いつつ、どのような決算書が解りやすいか財団の関係者の皆様と検討を行いました。どこまでお役に立てたか分かりませんが、皆様と色々協議したことが懐かしく思い出されます。

私が携わった間にも財団の事業には色々な変遷がありました。しかし目指すところの基本は、30年前と変わらないものと思います。次の40周年、50周年に向けて、財団の益々のご活躍・ご発展を心より祈念いたします。


 

 

第3部 30年の歩み

1993年3月 厚生大臣、建設大臣(当時)より設立許可(事務所:東京都港区赤坂3-21-20)
1995年8月 シニア住宅「ボナージュ横浜」管理開始
1998年4月 シニア住宅「ボナージュ稲毛海岸」管理開始
2000年9月 東京都中央区八丁堀2-20-9へ事務所を移転
2001年10月 国土交通大臣より「高齢者居住支援センター」の指定を受け、債務保証業務を開始
2011年5月 「一般社団法人高齢者住宅推進機構」の設立に伴い、同機構の事務局支援業務を開始
2011年10月 「高齢者居住支援センター」指定制度の廃止に伴い、同センター業務を財団業務へ移管
2013年4月 公益法人制度改革に伴い、一般財団法人へ移行
2017年11月 東京都千代田区神田錦町1-21-1へ事務所を移転
2017年12月 家賃債務保証業者登録(国土交通大臣(1)第4号)
2022年12月 家賃債務保証業者登録更新(国土交通大臣(2)第4号)
2023年9月 家財整理 相談・紹介事業開始